行政書士の行政法勉強法!配点112点を攻略する戦略
行政法は行政書士試験で最大の配点(112点/300点)を持つ最重要科目です。行政法を制する者が試験を制すると言っても過言ではありません。この記事では行政法の出題傾向を分析し、科目内の優先順位・効率的な学習法・頻出判例の攻略法を体系的に解説します。
行政法の配点と試験での位置づけ
行政法は行政書士試験の法令科目の中で、最も配点が高い科目です。
| 出題形式 | 問題数 | 配点 | |---------|--------|------| | 5肢択一式 | 19問 | 76点 | | 多肢選択式 | 2問 | 16点 | | 記述式 | 1問 | 20点 | | 合計 | 22問 | 112点 |
300点満点中112点、つまり全体の37%を行政法が占めています。合格点180点の62%に相当するため、行政法で高得点を取ることが合格への最短ルートです。
行政書士の試験科目で全科目の配点を確認するとわかりますが、次に配点が多い民法(76点)と比べても36点の差があります。行政法に学習時間の30〜35%を投入する配分が理想的です。
行政法の科目構成と学習の優先順位
「行政法」は1つの法律ではなく、複数の法律の総称です。優先順位をつけて学習することが効率化の鍵です。
最優先(出題の約60%):
- 行政事件訴訟法 — 取消訴訟を中心に毎年5〜6問出題。記述式の出題源でもある
- 行政手続法 — 聴聞・弁明の機会の付与を中心に3〜4問出題
次に優先(出題の約25%):
- 行政不服審査法 — 審査請求の手続きを中心に3〜4問出題
- 国家賠償法 — 1条・2条を中心に1〜2問出題
基礎として(出題の約15%):
- 行政法総論 — 行政行為の分類・行政裁量・行政指導など2〜3問出題
- 地方自治法 — 条例・住民訴訟など2〜3問出題
よくある間違いは、行政法総論(教科書の最初に載っている部分)に時間をかけすぎることです。行政法総論は抽象的な概念が多く理解に時間がかかりますが、出題数は少なめです。まず行政事件訴訟法と行政手続法をマスターし、その後で総論に戻るのが効率的です。
行政事件訴訟法の攻略法
行政法の中で最も出題が多く、最も重要な法律が行政事件訴訟法です。
攻略の核心は「訴訟類型の整理」です。
行政事件訴訟法には複数の訴訟類型があり、それぞれの要件を正確に区別できることが求められます。
| 訴訟類型 | 条文 | 頻出ポイント | |---------|------|------------| | 取消訴訟 | 3条2項 | 処分性・原告適格・被告適格・出訴期間 | | 無効等確認訴訟 | 3条4項 | 「重大かつ明白な瑕疵」の判断基準 | | 不作為の違法確認訴訟 | 3条5項 | 申請に対する応答がない場合 | | 義務付け訴訟 | 3条6項 | 申請型と非申請型の区別 | | 差止訴訟 | 3条7項 | 「重大な損害を生ずるおそれ」の要件 |
学習のコツ: まず取消訴訟の要件を完璧にマスターしてください。他の訴訟類型は取消訴訟との「違い」で理解するのが効率的です。たとえば義務付け訴訟は「取消訴訟では救済できない場合の訴訟」として位置づけると、要件の違いが腑に落ちます。
条文番号まで覚える必要はありませんが、行政書士の記述式対策のためには、各訴訟類型のキーワード(「処分があったことを知った日から6ヶ月以内」等)を正確に書けるレベルまで仕上げる必要があります。
行政手続法の攻略法
行政手続法は条文数が少なく(46条)、出題パターンも限定的なため、最もコスパよく得点できる分野です。
重点学習ポイント:
1. 申請に対する処分(5〜11条)
- 審査基準の設定義務と公表義務
- 標準処理期間の設定(努力義務)
- 理由の提示義務
2. 不利益処分(12〜31条)
- 処分基準の設定(努力義務)と公表(努力義務)
- 聴聞と弁明の機会の付与の使い分け
- 聴聞:許認可の取消し、資格の剥奪など重い処分
- 弁明:それ以外の不利益処分
3. 行政指導(32〜36条の2)
- 行政指導の一般原則(任意性の原則)
- 行政指導の方式(書面交付義務)
学習法としては、行政手続法の条文を一覧表にまとめるのが効果的です。「義務」と「努力義務」の区別、「聴聞」と「弁明」の振り分け基準を表で整理すると、択一式の正誤判断が速くなります。
行政不服審査法の攻略法
行政不服審査法は2014年に全面改正されており、改正後の条文に基づいた出題が中心です。
頻出テーマ:
- 審査請求の期間(処分があったことを知った日の翌日から3ヶ月以内)
- 審理員制度の仕組み
- 行政不服審査会への諮問
- 再調査の請求と審査請求の関係
- 教示制度
行政不服審査法のポイントは、行政事件訴訟法との対比で理解することです。
| 比較項目 | 行政不服審査法 | 行政事件訴訟法 | |---------|-------------|-------------| | 申立期間 | 3ヶ月 | 6ヶ月 | | 審理機関 | 行政庁(審理員) | 裁判所 | | 口頭意見陳述 | あり | 口頭弁論 | | 不服申立ての対象 | 処分+不作為 | 処分+不作為+その他 |
この対比表を頭に入れておくと、択一式で「行政不服審査法では〇〇だが、行政事件訴訟法では△△である」というひっかけ問題に対応できます。
判例学習の効率的な進め方
行政法では判例問題が多く出題されます。ただし、闇雲に判例を覚えるのは非効率です。
必須判例リスト(最低限押さえるべき20判例):
処分性に関する判例:
- 青写真判決(都市計画決定の処分性)
- 病院開設中止勧告事件(行政指導の処分性)
- 土地区画整理事業計画決定事件(大法廷判決で処分性肯定)
原告適格に関する判例:
- 主婦連ジュース事件(一般消費者の原告適格否定)
- 小田急高架訴訟(周辺住民の原告適格)
- もんじゅ訴訟(周辺住民の原告適格肯定)
国家賠償に関する判例:
- 宅建業者事件(規制権限の不行使と国賠責任)
- 在外邦人選挙権事件(立法不作為の国賠責任)
判例学習のコツは、事案→争点→結論の3点セットで記憶することです。判決理由の細部まで覚える必要はなく、「この事案で最高裁は処分性を認めた/認めなかった」レベルの理解で択一式には対応できます。
行政書士の勉強法で紹介している判例集や、通信講座の判例レジュメを活用し、上記の必須判例から優先的に学習しましょう。
行政法の学習スケジュールモデル
行政書士の勉強スケジュールと連動させた、行政法の学習モデルを示します。
Phase 1(試験12〜8ヶ月前):基礎インプット
- テキストで行政法全体を通読(2周)
- 行政事件訴訟法→行政手続法→行政不服審査法の順で学習
- 各章末の確認問題を解く
Phase 2(試験8〜4ヶ月前):過去問演習
- 行政書士の過去問の使い方を参考に、行政法の過去問を5年分×3周
- 間違えた問題の条文・判例を重点復習
- 記述式の過去問も並行して解き始める
Phase 3(試験4ヶ月前〜直前):弱点補強+実戦演習
- 模試で行政法の正答率を確認(目標:70%以上)
- 条文の正確な文言を暗記(記述式対策)
- 判例のファイナルチェック
行政法は暗記で得点が伸びる科目です。直前期の追い込みが特に効果的なので、行政書士の勉強時間を十分に確保し、最後まで得点力を伸ばしましょう。
まとめ
行政法は行政書士試験で112点を占める最重要科目です。学習の優先順位は行政事件訴訟法→行政手続法→行政不服審査法の順で、条文の正確な理解と判例の3点セット記憶が得点の鍵になります。全体の学習時間の30〜35%を行政法に投入し、択一式で70%以上、記述式で15点以上を安定して取れる状態を目指しましょう。