行政書士の年収は?勤務・開業別に徹底解説
行政書士の平均年収は、勤務か開業かで大きく異なります。勤務行政書士は450万〜650万円程度の安定年収が期待でき、開業行政書士は初期段階で100万〜300万円、安定期には400万〜1000万円以上も可能です。2026年現在、企業のコンプライアンス強化により需要が急増し、行政書士の報酬単価は上昇傾向にあります。この記事では、年収構造、年代別・業種別の年収差、年収を上げるための戦略を徹底解析します。
行政書士の平均年収
勤務行政書士の平均年収
全体平均:約550万円
| 経験年数 | 平均年収 | 範囲 | |---------|--------|------| | 1〜3年 | 380万円 | 320万〜450万円 | | 4〜10年 | 520万円 | 400万〜650万円 | | 11〜20年 | 650万円 | 550万〜850万円 | | 20年以上 | 750万円 | 600万〜1000万円 |
初任給(新卒):年280万〜380万円
- 通常の月給:23万〜32万円程度
- ボーナス:4〜6ヶ月分(年1回または2回)
- 実績ボーナス:案件成功時に追加報酬
3年目での年収:年380万〜500万円
- 経験を積むとともに給与が上昇
- 資格手当が加算される企業もある(月2万〜5万円)
- 実績による歩合給が加算される場合も
開業行政書士の平均年収
全体平均:約600万円(開業3年以降)
| 経営段階 | 平均年収 | 特徴 | |---------|--------|------| | 開業初年度 | 100万〜300万円 | 営業期間が大半、固定クライアント少ない | | 2年目 | 200万〜500万円 | クライアント増加期、営業努力が結果に | | 3年目以降 | 400万〜1000万円以上 | クライアント基盤安定、リピート案件増加 |
開業初期の現実:
- 初年度は赤字になる可能性も高い
- 営業活動に時間を費やす必要がある
- クライアント獲得まで数ヶ月かかることも
- 継続的な案件確保が最大の課題
安定期の開業行政書士:
- 月額契約のクライアント(月10万〜30万円)
- 新規許認可申請(1件15万〜100万円)
- 継続的な相続相談(1件10万〜50万円)
- 複数の安定収入源がある
年代別の年収推移
勤務行政書士の年代別年収
| 年代 | 平均年収 | 年収水準 | 特徴 | |------|--------|--------|------| | 20代 | 350万〜450万円 | 全職種比で平均以下 | 実務スキル習得期 | | 30代 | 450万〜650万円 | 全職種比で平均程度 | キャリア形成期、昇進の分岐点 | | 40代 | 600万〜850万円 | 全職種比で平均以上 | 管理職への昇進時期 | | 50代 | 700万〜1000万円 | 全職種比で高い | 経営判断層、給与がピーク | | 60代 | 550万〜800万円 | 再雇用により若干低下 | 嘱託社員としての雇用も |
昇進による年収変動:
- 一般職:年500万〜650万円
- 課長クラス:年700万〜900万円
- 部長クラス:年900万〜1200万円
開業行政書士の年代別年収
| 年代 | 平均年収 | 特徴 | |------|--------|------| | 20代 | 200万〜400万円 | 開業者少ない、若手で開業時は競争力が弱い | | 30代 | 400万〜700万円 | 開業適齢期、前職経験を活かす | | 40代 | 500万〜1000万円以上 | クライアント基盤が確立、年収のピーク | | 50代 | 600万〜1200万円 | 経験と人脈を活かした高年収 | | 60代以降 | 400万〜800万円 | 継続案件で安定収入、新規営業減少 |
開業成功者の特徴:
- 前職で確固たる人脈がある
- 建設業や運送業での経験者
- コンサルティング能力が高い
- 営業スキルが優れている
業種別・企業規模別の年収差
勤務先業種別の平均年収
| 業種 | 平均年収 | 理由 | |------|--------|------| | 建設業 | 600万〜800万円 | 許認可案件が多く、高単価。業況に左右される | | 運送業 | 550万〜750万円 | 許認可申請が頻繁。安定的な案件量 | | 人材派遣業 | 480万〜650万円 | 行政対応部門で重要性が高い | | 不動産業 | 520万〜700万円 | 許認可・契約書作成が主業務 | | 行政書士事務所(法人) | 400万〜550万円 | 給与は低めだが、独立への足がかり | | 法律事務所 | 550万〜750万円 | 弁護士と連携した高度案件 | | コンサルティング企業 | 600万〜900万円 | 高度な知識を要求、給与水準高い | | 官公庁 | 500万〜700万円 | 安定的だが民間より低い傾向 |
企業規模別の平均年収
| 企業規模 | 平均年収 | 待遇の特徴 | |--------|--------|----------| | 大企業(1000名以上) | 700万〜1000万円 | 福利厚生充実、年功序列傾向 | | 中堅企業(100〜1000名) | 550万〜750万円 | バランスの取れた待遇 | | 中小企業(10〜100名) | 420万〜600万円 | 給与は低めだが、成長機会が多い | | 小規模企業(10名以下) | 350万〜500万円 | 一人多役が一般的、裁量が大きい |
大手企業の年収が高い理由:
- 建設大手、運送大手は許認可案件が多い
- 案件単価が高い
- 福利厚生(退職金、企業年金)が充実
- 年功序列で確実に昇給
開業行政書士が年収を上げるための戦略
年収を左右する3つの要因
1. クライアント単価 × 案件数 × リピート率
年収 = 平均単価(15万〜50万円)× 年間案件数(20〜100件)× リピート率(30%〜70%)
例:
- 月3件 × 年12ヶ月 = 年36件
- 平均単価30万円 × 36件 = 1080万円
- ただしリピート率が30%なら実質580万円程度
2. 専門分野の確立
| 専門分野 | 平均単価 | 年間案件数 | 推定年収 | |--------|--------|---------|--------| | 建設業許可 | 30万〜50万円 | 20〜40件 | 600万〜1500万円 | | 運送業許可 | 40万〜80万円 | 15〜30件 | 600万〜1800万円 | | 相続・遺言 | 10万〜30万円 | 50〜100件 | 500万〜2000万円 | | 会社設立・定款 | 10万〜20万円 | 30〜60件 | 300万〜1000万円 | | 一般的な許認可 | 5万〜15万円 | 50〜150件 | 250万〜2000万円 |
建設業許可専門の行政書士:
- 高単価(30万〜50万円)
- 建設業の需要は安定的
- 施工実績の確認など複雑な手続き
- リピート率が高い(同一企業の複数案件)
3. 経営効率化
開業行政書士の年収向上策:
- 案件の効率化:テンプレート化で時間短縮
- 単価交渉:実績を作った後、単価を上げる
- 複数営業チャネル:紹介、ウェブ、営業、提携
- 継続契約化:月額顧問料で安定収入
- スタッフ雇用:単純案件をスタッフに処理させ、自分は営業・高度案件に注力
勤務と開業:年収で選ぶべきか?
勤務行政書士のメリット・デメリット
メリット:
- 年収が安定している(毎月給与が固定)
- 賞与がある(年1〜2回、給与の4〜6ヶ月分)
- 福利厚生が充実(社会保険、退職金、企業年金)
- 営業の必要がない
- 人間関係が安定している
デメリット:
- 年収の伸びが限定的(年功序列が一般的)
- 昇進に関係なく給与が決まる
- 1000万円を超える年収は稀
- 会社の経営状況に左右される
- 裁量の余地がない
開業行政書士のメリット・デメリット
メリット:
- 無限の年収向上可能性(自分の頑張り次第)
- 1000万円超の年収も実現可能
- 自分のペースで経営できる
- クライアント対応の自由度がある
- 税理士との連携で節税対策が可能
デメリット:
- 初期段階で給与が不安定
- 営業活動が必須(継続的な努力が必要)
- クライアント獲得が課題(初期3年が最大の課題)
- 開業費用の投資が必要(初期費用30万〜100万円)
- すべての責任が自分に帰してくる
- 開業後3年以内に30%が廃業するリスク
行政書士の平均年収が上昇している理由
需要増加による単価上昇
1. 企業のコンプライアンス強化
- 働き方改革により各種許認可要件が厳格化
- 企業が確実に法令遵守するため行政書士に依存
- 高度な知識を要求される傾向で単価上昇
2. 起業・独立の増加
- フリーランス、起業ブーム
- 新規事業開始時に許認可申請が頻繁に発生
- スタートアップ企業による新規案件増加
3. 高齢化による相続需要の増加
- 相続件数が急増(毎年150万件程度)
- 遺言書作成、遺産分割協議書作成の需要急増
- 相続対策コンサルティングの単価上昇
4. デジタル化による複雑化
- GBIZログイン、電子申請の普及
- システム連携により複雑化した手続き
- 専門知識の価値が上昇
2026年現在の行政書士年収事情
年収トレンド
上昇要因:
- 許認可申請の需要が堅調
- 相続需要が急速に増加
- 高度な知識を要求する案件が増加
- 単価交渉で成功する行政書士が増加
下降要因:
- 新規参入者の増加で競争が激化
- 一部の低価格化提供者による市場価格低下
- AI・自動化ツールによる効率化圧力(ただし影響は限定的)
今後の年収見通し
勤務行政書士:
- 年収は現状程度(450万〜650万円)で推移見通し
- ただし企業の重要度が増すため、待遇は向上傾向
- スペシャリスト職の給与が上昇傾向
開業行政書士:
- 需要増加により年収向上の可能性あり
- ただし競争激化で営業努力がより重要化
- 専門分野の確立が年収を左右する要因に
行政書士の年収まとめ
行政書士の年収は、勤務か開業かで大きく異なります。安定性を重視なら勤務行政書士(年収450万〜650万円)、無限の可能性を求めるなら開業行政書士(初期は200万〜300万円、安定期は400万〜1000万円以上)という選択肢があります。
2026年現在、行政書士の需要は急速に高まっており、どちらの選択肢でも年収向上のチャンスがあります。重要なのは、自分のキャリアビジョンと市場のニーズを照らし合わせ、長期的な年収戦略を立てることです。
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