行政書士と司法書士の違いは?業務・難易度・年収を徹底比較
行政書士と司法書士は名前が似ているため混同されがちですが、業務内容・試験難易度・年収は大きく異なります。行政書士は官公署への許認可申請が中心で、司法書士は登記手続きが中心です。この記事では両資格の違いを7つの観点から徹底比較し、どちらを目指すべきか判断基準を解説します。
行政書士と司法書士の業務内容の違い
行政書士と司法書士の最大の違いは「どこに提出する書類を扱うか」です。
行政書士の主な業務は、官公署(役所)に提出する許認可申請書類の作成と手続代理です。具体的には建設業許可、飲食店営業許可、外国人のビザ申請、遺言書作成など、その対象書類は1万種類以上にのぼります。2026年1月の行政書士法改正により、行政書士法人が1人でも設立可能になるなど、業務の幅はさらに広がっています。
司法書士の主な業務は、法務局に提出する登記申請書類の作成と手続代理です。不動産の売買や相続に伴う所有権移転登記、会社設立時の商業登記が代表的です。また、認定司法書士は簡易裁判所での訴訟代理権を持ち、140万円以下の民事事件を扱えます。
要約すると、行政書士は「許認可のプロ」、司法書士は「登記のプロ」という位置づけです。
試験難易度の違いを数値で比較
両資格の試験難易度には明確な差があります。
| 比較項目 | 行政書士 | 司法書士 | |---------|---------|---------| | 合格率 | 10〜14%前後 | 4〜5%前後 | | 必要勉強時間(目安) | 600〜1,000時間 | 3,000〜5,000時間 | | 試験科目数 | 法令5科目+一般知識 | 11科目 | | 試験形式 | 択一+記述3問 | 択一+記述2問(+口述) | | 受験資格 | なし(誰でも受験可) | なし(誰でも受験可) |
行政書士の合格率は2024年度で13.98%だったのに対し、司法書士は4〜5%台で推移しています。必要な勉強時間も司法書士は行政書士の3〜5倍とされており、難易度の差は歴然です。
ポイントは3つあります。まず、行政書士試験は絶対評価(180点以上で合格)であること。次に、司法書士試験は相対評価で基準点が毎年変動すること。そして、司法書士試験には筆記試験合格後に口述試験がある点です。
年収・収入の違い
年収面でも両資格には差があります。
行政書士の年収は、勤務型で350〜500万円、開業型で400〜800万円が一般的なレンジです。ただし、行政書士の年収でも解説しているとおり、専門分野を持つ開業行政書士は1,000万円以上を稼ぐケースも珍しくありません。
司法書士の年収は、勤務型で400〜600万円、開業型で500〜1,200万円が相場です。登記業務は1件あたりの報酬単価が高く、不動産取引が活発なエリアでは安定した収入が見込めます。
注意すべき点として、年収は資格そのものよりも「どの分野で、どのエリアで、どれだけ営業力があるか」に大きく左右されます。行政書士でも入管業務や建設業許可に特化すれば高収入を実現できますし、司法書士でも集客に苦戦すれば年収300万円台ということもあり得ます。
試験科目の重複と学習効率
行政書士試験と司法書士試験には、科目の重複があります。
重複する科目:
- 憲法:両試験で出題。基本的な判例知識は共通
- 民法:両試験の最重要科目。行政書士で9問、司法書士で20問出題
- 商法・会社法:行政書士で5問、司法書士で8問出題
この重複があるため、行政書士試験の学習経験は司法書士試験にも活きます。実際に、行政書士合格後に司法書士を目指す「ステップアップ型」の受験生は少なくありません。
ただし、司法書士試験では不動産登記法や商業登記法といった登記専門科目が加わり、民法の出題レベルも格段に上がります。行政書士の民法知識だけでは司法書士試験の民法には太刀打ちできないため、追加学習は必須です。
どちらを目指すべき?判断基準5つ
資格選びで迷ったら、以下の5つの基準で判断してください。
行政書士がおすすめの人:
- 早く資格を取りたい人 — 勉強時間600〜1,000時間で取得可能
- 許認可ビジネスに興味がある人 — 建設業・飲食業・外国人ビザなど
- 副業・兼業で始めたい人 — 自宅開業がしやすく初期費用が低い
- 文系で法律初学者の人 — 試験のハードルが比較的低い
司法書士がおすすめの人:
- 不動産や相続の専門家になりたい人 — 登記業務は安定需要
- 裁判業務にも携わりたい人 — 認定司法書士なら訴訟代理も可能
- 長期間の学習に耐えられる人 — 2〜3年の学習期間を想定
- 高単価の業務をしたい人 — 1件あたりの報酬が高め
重要なのは、「どちらが上か」ではなく「自分のキャリアビジョンに合うのはどちらか」という視点です。
ダブルライセンスという選択肢
行政書士と司法書士の両方を取得する「ダブルライセンス」も有力な選択肢です。
ダブルライセンスの最大のメリットは、ワンストップでサービスを提供できることです。たとえば会社設立では、定款作成(行政書士業務)から法人登記(司法書士業務)まで一人で完結できます。相続案件でも、遺産分割協議書の作成から相続登記まで一貫して対応可能です。
行政書士のダブルライセンスとして人気の組み合わせには、司法書士のほかに社労士や宅建士もあります。どの組み合わせを選ぶかは、自分が目指す業務領域によって変わります。
実際の取得順序としては、まず行政書士に合格し、その後で司法書士を目指すのが王道ルートです。行政書士で法律学習の基礎体力をつけてから、より高難度の司法書士に挑戦するほうが効率的です。
2026年以降の将来性比較
両資格の将来性についても触れておきます。
行政書士の将来性は、外国人労働者の増加に伴う入管業務の需要拡大が追い風です。2026年1月の法改正で行政書士法人の設立要件が緩和されたことも、組織的な事業展開を後押しします。一方で、単純な書類作成業務はデジタル化・AI化の影響を受ける可能性があります。
司法書士の将来性は、相続登記の義務化(2024年4月施行)により安定した需要が見込まれます。高齢化社会の進展で成年後見業務も増加傾向にあります。
いずれの資格も、行政書士の将来性で解説しているとおり、単純作業ではなくコンサルティング能力を磨くことが生き残りの鍵です。
まとめ
行政書士と司法書士は「許認可 vs 登記」という業務領域の違いが根本にあります。試験難易度・必要勉強時間・年収レンジも大きく異なりますが、どちらが優れているという話ではなく、自分のキャリア目標に合った資格を選ぶことが重要です。まずは比較的取得しやすい行政書士から始め、必要に応じてダブルライセンスを目指す戦略がおすすめです。
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